「とりかえしのつかないことをくりかるる展」内イベント 御礼

山下昇平さんの個展
「とりかえしのつかないことをくりかるる展」内での安田登さんとのパフォーマンス、
お陰様で無事に終了いたしました。

暑い中ご来場下さった皆様、有難うございました。
終演後、沢山の方々にお声掛け頂きまして、嬉しかったです。

今回は山下昇平さんが自ら書かれた挨拶文を
安田さんが謡で読み上げることから始まり、
シュメール語のプチ講座を挟んで「イナンナの冥界下り」ショートヴァージョン。
それから、夏目漱石「夢十夜」の一夜、三夜、と、
一時間ちょっとくらいの長さだったと思うのですが内容は盛りだくさんでした。

昇平さんの展示空間の中でのパフォーマンスでしたので、
作り上げられた世界の中でやらせて頂けるのが本当に楽しくて。
天井から吊り下げられた無数の赤い糸や、
床にごろりと転がる女の首。供物のような肋骨など、
懐かしくも切ない夢の中のような空間でした。


(吊り下げられている人形は女神イナンナです)

私は基本的にはヴァイオリンでのサポートだったのですが、
イナンナでは恥ずかしながらちょっと歌わせて頂いたり…
そして、夢十夜の第一夜に関しては丸々一人でやらせて頂きました。

せっかくなので、ひとつひとつ、
ちょっと振り返ってみようかと思います。

まず、最初は昇平さん作の挨拶文から…

良くみると、言葉の隣に波の音が…
あぁ、波の音に溶けていくような言葉なんだな、と思いました。
ポツリ、ポツリという波の飛沫のような音をつけようかと思っていたのですが、
始まってみましたら、安田さんのお声が巨大な渦潮のようだったので、
荒波のようになってしまいました。
安田さんとはリハが無いので、いつも何が現れるか分からないのです。
何度かご一緒しているのでイメージは出来るのですが、
所詮、イメージはイメージなので、そうきたか、という楽しみがあります。

続いてのイナンナの冥界下りは、基本は安田さんがお一人で…
私は劇中歌(安田さん作曲です)を歌とVnでサポートしました。
シュメール語の響き、不思議ですよね。
何度も繰り返していくうちに異界が現れるような不思議な言葉です。
演目の中でこれが最初だったのは、
空間を作る儀式のようでとてもやりやすかったです。

続いて、私の独奏(ロザリオの為のソナタ パッサカリア/作曲:ビーバー)
を挟んで夢十夜の第一夜。

一夜を一人で、というのは本当に前日に突然依頼されまして…

私はヴァイオリンの弾き語り一人芝居「箱庭コラァル」という企画を
細々とやっておりまして、夢十夜も一人で時々弾き語っており、
今回はその形でやらせて頂きました。
ヴァイオリンは弾き語りにあまり向かない楽器なので、
やり方はまだまだ模索中なのですが。
昇平さんの作品や場の空気に助けられまして、
とても楽しくやることが出来ました。
素敵な場を頂けて有り難かったです。

そして、最後は、夢十夜、第三夜。

第三夜は安田さんが語りを、私は音を。
何度かご一緒させて頂いている演目です。
夜の闇の中を歩く恐ろしさと、主人公の不安の重みが
段々と子供の重みと共にのしかかってくるようなイメージで弾いています。
聴いている方々はどのような情景が広がっていったのでしょうか。

今回のイベントでは初めから終わりまで、
ずっと山下昇平さんがライブで粘土で造形をされていました。
位置的にあまり見えなくて残念だったのですが、
終わった時は青坊主の形が作られていました。
あとでお客様に聞いたところ、途中美しい女性の形に変容していた時もあったそうです。

イベントが終わったあと、
昇平さんが躊躇なく、青坊主を生み出した粘土を潰して
土の塊に戻してしまったのがとても印象的でした。

イベントの終わりと共に、
その時間に産み出されたものが土に還ったようで。

きっと、その土の塊は、
また違う時、違う場所で違うものを産み出すであろうことが想像できて
何だかそれは、とても素敵なことなのではないかと思うのでした。